VoiceOver でリモコン操作できるバリアフリープリンター

視覚障害者の家電あるあるに、タッチパネル操作に困るというものが有ります。
大きく見やすい簡単操作のタッチパネル等とうたっていても、そんなものより物理ボタンは有るのかといった事の方が重要だったりします。
しかし、最近の家電、プリンター等はエントリーモデルにもタッチパネルの搭載が標準となって来ました。

iPhone はタッチパネルを VoiceOver で使える

弱視・ロービジョン・視覚障害者の中には、iPhone iPad をスクリーンリーダー VoiceOver 機能を使って操作している方も多いかと思います。
プリンターのタッチパネルでは無く、iPhone のタッチパネルでプリンターを操作出来たら、外形や物理ボタンの有無に関わらずプリンターを操作する事が出来ます。

各メーカーからスマホ用のアプリは数多く出ていますが、その殆どがスマホ上の写真を印刷したり、データを共有したりといったもの。
コピーといったプリンター本体の機能に焦点を当てたものは少ない様に感じます。
本体に用紙をセットして、目の前の本体のパネルではなく、わざわざスマホの画面でコピー操作をするといった事は想像しにくいかもしれませんが、タッチパネル又は物理ボタンであってもコピー枚数を設定するのは困難です。

アプリの最低条件
VoiceOver で読み上げるもの
コピー等の本体の基本操作が出来るもの

これらの条件を踏まえ今回検証するのは、HP(ヒューレット・パッカード)のプリンター。同社から専用アプリもリリースしています。

HP ENVY 5020 プリンター

検証に使った機種はエントリーモデルの HP ENVY 5020 です。
エントリーモデルですが、操作は全てタッチパネル。物理ボタンは電源ボタンくらいしか有りません。
インクカートリッジは黒と3色カラーの2つ。どちらも同じ大きさと形をしているので見ないで区別するのは困難です。
ちなみにカートリッジのセットは電源を入れないと出来ません。黒が右、カラーが左です。
インクをセットしたらテスト印刷と調整の為、用紙のセットと数度のタッチパネル操作が有ります。
ここまでの作業が終わればネットワーク設定等はアプリで行えます。

HP Smart アプリ

検証バージョンは HP Smart 6.3.1 です。
アプリの初期設定をする為にプリンターと BlueTooth 接続をし、そこでプリンターとルーターの Wi-Fi 接続も行えます。
BlueTooth の電波が弱いのか、かなりプリンターに近づかないと設定中に接続が切れます。

アプリのコピーをタップすると、コピーするかと思いきやカメラが起動。
これはカメラで撮った写真をコピーするという事なのでしょうか。
プリンターに用紙をセットしてコピーしたい場合は、スキャンの機能を使う様です。
確かに用紙をスキャンして印刷しますが、コピーなのかスキャンなのか紛らわしいですね。
ただ、スキャンしたデータは保存する事も出来るので、改めて原本を用意しなくても良いのは便利です。
HP ENVY 5020 の場合、コピーする原本は向かって右手前を起点にセットします。意外とこんな事でつまずいたりする。

アプリ自体は概ね VoiceOver でも読み上げてくれますが、やはり「ボタン」としか読み上げない箇所も。
又、ボタンなのかそうで無いのか、アクションが実行されているのか良く分からない箇所も有りますが、致命的に操作不可能な点は無さそうです。
ホーム画面は好きなショートカットを選択して配置する事が可能で、シンプルで好印象。
現バージョンではコピーの枚数の選択といった基本的な操作は VoiceOver でも行えますので、HP(ヒューレット・パッカード)のプリンターで、HP Smart に対応したモデルなら同じ様に使えるのではないでしょうか。
アプリで操作出来ればプリンターも好きなモデルを選べますし、VoiceOver 対応アプリがバリアフリーになるという視点がもっと広がって欲しいですね。